Y’s blog

届きますように、この言葉。

तीन tīn - 魔法の言葉にかかりたくて。-

🌈



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3/2のニューデリーは、前日とは違う空気感をまとっていた。すれ違うインド人はどこか楽しげで、にこやかである。元々のびのびとした気質だろうにいつも以上に彼らのあるがままのペースでこの日を生きている。そして何よりも目立って違うことが一つ。その手には赤、緑、黄と言った眩しいほど鮮やかな彩りの粉が入った小さな袋。にっと笑う口からは歌うような「ハッピーホーリー」というひとことが弾ける。


そう、私はこのためにここに来たのである。


昨年、いつものようにぼんやり眺めていたSNSを唐突にジャックしたのは人種どころか服と肌の境界線、いやもはや目と鼻がどこにあるか分からない程に全身が色粉まみれで、今にも笑い声が聞こえそうなほど開いた口から見えるむき出しの歯だけが白く光っている人々の写真だった。
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なんだこれ、楽しそう。


しかし、その当初の私はようやくバックパックを背負い始めたばかりで、インドなんかとても行ける自信がなかった。


来年。来年は絶対行く。


そう決め込むなり翌年のホーリー祭の期間を調べスケジュール帳に書き加え、見事に達成させることが出来たのである。


私は直前までどこの地域で、誰と参加するか全く決めずにいたのだけれども、タビイクの人たち
(タビイクっていうのは一人旅したいけど不安な人のための企画です!え、なんぞやって人のためのお話はこちら☞ http://observer-star8.hatenablog.com/entry/2017/11/27/194710 )
のすごいところは、気づいたらインド合流で色粉片手に街を歩いているところである。


何も考えていなかったにも関わらず男女計5人で参戦することが決定した。


実はこのお祭り、世界1クレイジーな祭りとも言われていて、そう呼ばれるだけあっていろいろとえげつない。


過去参戦者からは
女1人で行っちゃいけない。
だとか、リキシャーのおっちゃんには
移動中はスマホ出すな。なんたって今はホーリーだからね☆
と脅され続けていた。


つまり、ハッピーホーリーというのは紛いもなく魔法の言葉だった。この言葉一つで全てが合法化してしまうとんでもなくぶっ飛んだ祭日なのだ。
通りがかりの人に泥水かけても、臭い色スプレー噴射しても、痴漢してもホーリーだからね☆で済ませるこの祭りまじでどうかしてる。つまりはそれを分かった上で、よっしゃかかってこいや!ぐらいで行くと楽しめます。

※宿によっては参戦を禁止している場所もあるので是非ともこのクレイジーさを体感したいっていう人は事前に確認してください。


最初は粉ついた手で相手のほっぺに色つけて
ハッピーホーリー!へへへっ
みたいなふわふわしたやり取りが続いて、予想に反する優しげな雰囲気に拍子抜けしていたのだけど、市街地を歩くにつれて武器がガチ装備になってくる。
水鉄砲なんてかわいいもんで、バケツいっぱいの何入ってるかよく分からん色水だとか、あわあわのカラースプレーとか、うわ何あれー!とか言ってるうちに建物の屋上からも水風船やら水バケツやらが投下される。絶対今お前が投げたろって人はたまにいるけど、恨めしげに見たところで


何?どうしたの俺知らないよ?


みたいな顔で笑いかけてくるのみ。
誰がどこから奇襲かけてくるか分からないのが醍醐味。


特に子どもたちは容赦ない。
集団で走ってきて散々にしてくるのはだいたい子ども。年に1度のこのはちゃめちゃを楽しみすぎてる。いいことだけど目と口によく分からんスプレーかけんのやめろ。


でもなんだか許しちゃう。かわいいし、楽しいし、こんなお祭り早々ないから。


昼には切り上げて街に平常が戻り始めるのだけど、昼までで正解だよインド人。
何せいくら楽しいとはいえ太陽がちょうどてっぺんに昇る頃には疲れ始めてもうかけてくんなって思い始めてくる。


昼を過ぎても、もちろん遊び足りない無邪気なこどもたちや青年はちょこちょこいて、いつも通りの生活に戻り始めた人たちに呆れたような苦笑いを向けられているし、頭の色まっピンクなおじちゃんはあまりそのことは気にせずに自転車を漕いでいたりもする。


なんて日だ!


素敵な1日をありがとうインド。
そして、いっしょに祭に参加した、最高な仲間達へ。


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