ぱたり、と閉じた本の奥の、瞳と目が合った。 読書灯の橙をゆらめかせてその目にたたえ、きらきらと潤んでいた。 気まぐれで天地を返す砂時計が、彼女の置いた本の横で、小さな山を作り終えて動かずそこに佇んでいた。 「あなたが、」 言いかけて、澱んだ。声…
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