Y’s blog

届きますように、この言葉。

HI

 

 

 

 

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それは、ある種の悪夢だと思った。
いや、そもそもは全然悪い話でもなかった。
なんてったって恋愛成就のパワースポットを探し当てて、そこで写真を撮ってくるなんてミッション、楽しそうだとしか思わないから。
場所自体にたいして何かあるわけではなく、そこへ行って上を見上げると空がハート型に切り取られているんだとか。
ロマンチックだなあっていうのが率直な感想だった。
だけど、誰が、ヒッチハイクで、しかも、しかも……。
「なあってば!お前、本当にヒッチハイクとかしたことねえの?えー、まじで?」
「うるっさいなあ、声でかい!ないよ、そんなの。」
いや、本当にどうしてこの男と?
ついこないだ、そう、まさにこの弾丸ヒッチハイクが決定したその日に初めて会った素性のよく知れない同い年の青年といきなり今まで単語としてしか知らなかったヒッチハイクをすることになったのか。
それは、たったの一週間前遡る。
そもそも私たちの繋がりは、大学のゼミだ。
もはやそれだけ。
たまたま同じ時期に、同じゼミを取っただけ。
それも、始まって1発目がこれ。
自己紹介もそこそこに、いきなりホワイトボードに苗字が羅列されて、ペアを作らされたのだ。自己紹介で終わりかと思えば、その後の先生の開口一番がこうだ。

「じゃあ、来週の今日今自己紹介した人とヒッチハイクしてもらうから。」

は?いやいやいや、どっかの企業の新人研修かよ。しかも何、スケジュールが急なんだって。いくらゼミの時間使うったって、この使い方は有りなのか?いや、絶対来ない人続出でしょ。
そうは思っているけれど、未知の状況すぎて楽しんでいる自分がいるのもまた事実だった。
「塚田くんだっけ、したことあるの?」
しかめっ面を直せないままにそう聞くと、待ってましたと言わんばかりの返答が返ってきた。
「俺?俺はある!!一回だけだけど。横浜から、大阪まで!」
へー、そうなんだ。
「じゃあ、任せていいってことだよね!」
あえてのありったけの笑顔。
「そうなる?!」
塚田はおどけてみせたけど、ちょっと嬉しそうだ。
出会って二回目にして私は多分塚田くんの扱い方が分かり始めている。

いや、でも、どうなっちゃうんだこの展開。

 

 

 

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このアルファベットは何なのかっていう全てのはじまりはこちらから。☟☟☟

 

http://observer-star8.hatenablog.com/entry/2017/11/30/200611

 

 

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