TH
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ふとした街中。
喧騒の中に足を踏み入れた主人公。
何気なく人の波を切るように足早に歩く。
いつもどおり。ただの日常。
だけどいつもと違ったのは、
通りすがったたったひとりの通行人。
時の流れがスローモーションになって、
めまぐるしい世界にひとり。
直感のような何かを微かに感じ取って、
思わず後ろを振り返る。
めまぐるしい世界にふたり。
ドラマでよくある、運命の再会。
現実でなど存在するとは到底思えないワンシーン。
もちろん、そんなシーンの主人公になれるだなんて思っちゃいない。
でも、今のこの状況はよく似ている、と思った。
気乗りしないままに臨んだ、友達に誘われただけの祝賀会で、何の気なしに泳がせた視線がぱっちりと合った女の子。
一瞬息を呑む。
よく似ていた。
五年前、高校卒業とともに顔を見かけることも、連絡を交わすことも、なくなったクラスメートに。
高二のときずっと続くと思っていた恋をしていたあの子に。
いるわけない、と思わず自嘲した。
人違いだ。
それは承知の上だった。
だって彼女は、
だけど、ふとした仕草や、聞き取れた話し口調の端々に五年前の記憶の片鱗が重なって、心を騒がせた。
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このアルファベットは何なのかっていう全てのはじまりはこちらから。☟☟☟
http://observer-star8.hatenablog.com/entry/2017/11/30/200611
あなたをひとつのおはなしにします。☟
https://twitter.com/Lilja819/status/901791690415005696