藤黄
ありがとう。
小さい子が、母親に言いなさいって怒られる言葉
恥ずかしさで言えなくて、すれ違ってしまう言葉
それなのに、強制されると意味がなくなる言葉
たった五文字だけれど、
伝えるまでにはなかなか難しい
お前お礼言ったのかよ
って誰かに注意されて
慌ただしく付け足したところで
それってすでに「ありがとう」じゃない
感謝もしてないのにありがとうなんて、
そんな悲しいことはない。
それと同じくらい
恥ずかしがって言えなくなるのも、悲しい。
私は後者。
ありがとうが伝えられない。
なんだか照れくさくて。
後悔したことも、伝えられなかった分だけ。
でもなんだかそれってお互いにとって
どこかもったいない。
だからこれは、私に向けて
そして、ありがとうを伝えそびれてきた人にも
少しでも心に
ありがとう
って思ったなら伝えたい。
伝えられるのは、自分だけ。